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19.12.26

B-PASS番外編「カップリングインタビュー」掲載!


 B-PASS番外編「カップリングインタビュー」

B-PASS本誌では掲載していなかったインタビュー部分がもったいないということで、急遽、掲載決定いたしました!
カップリングのことについて沢山お話をしていますので、ぜひ、ご一読ください!

【本文】
2018年11月に発表したフルアルバムの次の一手となるシングル「脳内」は、開いた時間で蓄積した想いと音楽的技術をぶつけて表現されたと言える作品だ。
 TVアニメ『炎炎ノ消防隊』のエンディングテーマでもある表題曲は、冒頭から“脳内”という強い響きが鈍器となって意識を揺さぶるナンバー。シンプルかつパワフルなリズムがサビへとエネルギーを運び、そして全編を通して曲を彩るセンスフルなギターフレーズはバンドの個性を決定づけている。そんなサウンドの中で歌われる歌詞は、《あなたが描いた理想に殺されない》という胸の奥を打つ強烈なメッセージを核に持ちつつ、言葉遊びを入れ込む余裕感もある。その“遊び”を挙げると例えば、《悪魔》と《AKUMA》という表記が使い分けられているところ。作詞を手がけた片桐 航は、「外部から来るのが《悪魔》で、自分の味方になってくれるのが《AKUMA》。別の存在であることを表現したんです」と言う。そんな意味の違いと同時に《AKUMA》は、彼らがかつて主題歌を担当した『D.Gray-man』に出てきた言葉でもある。また、《万象が舵》の“舵(かじ)”は、『炎炎ノ消防隊』を重ねて聴いた方は“火事”を思うだろう。これは、航曰く「聴く人がアニメの世界を想像できるためのフェイク」である。
 そんな「脳内」の話は音楽雑誌B-PASS1月号でじっくり語ってもらっているのでそちらをチェックしていただくとして、ここではカップリング曲について聞いてみたい。というのもカップリングの「ヴィランズ」「Time goes by」はこれからのライヴの中で、とてつもなく強力な武器となるという予感があるからだ。

■このインタビューではカップリングの2曲についてじっくり聞きたいと思っています。まず、「ヴィランズ」。このタイトルには“悪者”という意味が込められていると捉えていいんでしょうか。
航「悪者とか悪党集団ですね」

■フロアを揺らすようなダンスロック。
航「はい、完全にライヴをイメージして制作した曲で。サウンド、アレンジにおいてライヴ一色というか。ライヴのこと以外考えるな、くらいの曲です(笑)」

ソラ「自分たちでも意外なことに、ここまでライヴだけにフォーカスを当てた楽曲ってLenny code fictionになかったんですよね。ライヴで無茶苦茶格好いいと思うんです」

■初めて聴いた時から体が持っていかれますし、初見の人が多いフェスでも武器になるような。
航「これが浸透していけば超強い武器になるのは間違いないですよね(笑)」

ソラ「曲が航から出てきた時のことを鮮明に覚えているんですよ。普段からよく航と研究を兼ねて、今世の中で何が流行っているかという話をしていて。それはカルチャー全般に及んで、最近ではホラーとかのダークカルチャーが挙がったり。その流れの中で、“音楽もビリー・アイリッシュがガーンとスターダムにのし上がったりしているけど、俺らもダークな曲をやってみたいよね”みたいな感じで盛り上がっていたら、すぐ作ってきたんですよ。それを聴いて、無茶苦茶いいな、とテンションが上がったんです。その熱があったから、ギターは好き勝手やったんです」

■ダークというところから、イントロのサタニック的なヌルッとしたフレーズがついたんですね(笑)。
ソラ「そうです。あれは、思いの外すぐ死んじゃうデカい怪物が出てくる時の曲、みたいなイメージで作ったんですよ(笑)」

kazu「わかるわぁ! 巨大化するけどそれが負けフラグみたいなボス(笑)」

ソラ「そうそう(笑)。だからノリ感も少しアフターで、スライドを利かせるみたいな。こういう曲が始まるんだぞ、という雰囲気をあのフレーズで演出しました」

KANDAI「この曲って聴いた瞬間に、航らしさもしっかり詰まっているし、ライヴのことを考えているなってわかったんですよ。だからライヴを想定して、どうプレイするかを考えたんです。踊らせる系のロックとして、どうビートを持っていこうか、とかっていう感じでね。でもそれは、ノリとフィーリング重視したというんじゃなく、レコーディングでは今までで一番“音”に拘っているんですね。無茶苦茶深いスネアとか、いろんな種類のスネアを試して、そのうちの3種類くらいの音を混ぜて作ったり。スネアの上にシンバルを置いて叩いてみたり。そうやって録った様々な音を混ぜて作ったりしているんです。そういうサンプリングも使っているんですね」

kazu「1番のAメロの前半のリズムがそうで、これは生音をサンプリングしているんですよ。プリセット(用意されている音)を使ったんじゃなくね」

KANDAI「そういうサウンド的な遊びもやりました」

kazu「ベースもエレクトロと生のバランスに悩んだんですよね。デモの段階では全部シンセベースを弾いていたんですけど、それはあまりにも等身大の自分からかけ離れてしまうし、今やるべきことじゃないなと思ったので、本番のレコーディングでは敢えてベースは生を選択して。どうしてもエレクトロのニュアンスが欲しいところだけ、シンセベースを足しているんです。
あと、KANDAIがサンプリングを入れたのに対して、人間くささを出したくなったんですね。そこでAメロ、Bメロでトリッキーなことをしたり、サビでいきなり’80年代アメリカのガレージロックぽいニュアンスを出したり。僕の大好物を詰め込みつつ、レコーディングしました」

■歌詞はノリ感と、それだけではないものがありますね。
航「ノリ感を意識しつつ、初めてもっと自分の深いところをちゃんと出そうという挑戦をしたんです。他の方のライヴを観ていて、“俺はステージで本当の気持ちを歌っている”みたいなことを言っている場面に出会ったんですね。それはわかるんですよ。同時に、嫌いなヤツが不幸になったら嬉しい、そういう感情の一面をみんな持っているはずで、それも本当の気持ちのはずやのに、それは隠すの?みたいなことが多いな、と。そういう一面をこの歌詞には入れたんですよ。もちろん、嫌いなあいつも頑張ってる、という曲もあっていいんですよ。でも、人の不幸を喜ぶ自分もいるやん、とか、目の前にお金が落ちてたら拾うやん、人間やねんからみたいな。根っこに潜む悪みたいなものを書いたんです(笑)」

■《時に何をしても奪え》とか強い言葉が混ざっていて、突き刺さるという。手を繋いでゴールの時代だと言いますが、奪う気でいかないと手に入れられないものってありますよね。
航「嫌いなヤツから奪っちゃっていいんじゃない?っていうくらいの気持ちです(笑)。そういった感情を否定してられへん、と思ったんですよね」

■この曲には2回ラップゾーンがあって、2回目のそれにはリズムに言葉を当てていく以上のアプローチをしたフロウ感も格好いいです。
航「もともと1度目のラップと繰り返しだったんですけど、2回目ではちょっとリズムで遊んでみたいな、と。加えて、気持ち的にどんな歌詞を書いてもいい、という感じでいたので、言葉遊びとか耳に聞こえる気持ち良さみたいなのをフロウでも入れていこう、とした結果です」

■ロックヴォーカリストがこういうフロウスキルを持っているのは武器ですね。そして、3曲目に収録されるのは「Time goes by」。
航「これは古い曲なんですよ。高校卒業したくらいの時期に書いて、19歳くらいで初めてレコーディングしたんです。その当時からそこまで大きく歌詞も、メロディも変わってないね」

ソラ「当時はツービートだったから、最初のものから比べるとアレンジは少し変えた感じだね」

航「そうやね。曲の軸はそのままやから、あの頃の気持ちが入っています」

■曲としては前に転がるグルーヴ感と、サビで開ける感じが印象的でした。
航「10代はサビの広さを理想に置いて、“どれだけ広く、どれだけエモくできるかがキモや”ということを言ってたんです。それが今になってようやく形にできているかな、っていう(笑)」

■そこに乗るのは、少し時間が経った時点の、君を思う気持ち、でしょうか。
航「当時もラブソングのつもりで書いてなくて、もっと根源的な“人との別れ”を表現したかったというか。愛を育んでのものじゃなくて、いろんなシチュエーションでの別れを書いてました。それを元にして、今回言葉のチョイスを少し変えたりしたんです。タイトルは、時間は過ぎていくっていう意味なんですけど、時間によっていろいろ別れてしまうものみたいな、エモさで書いたんです」

■離れても影響を受けている距離感が描かれていると感じました。
航「自分の記憶だけがずっと残っている感じですね」

kazu「僕は最初のデモの時からメンバーで。当時は、ちょっと切ない感じと、サビの広がり、かつ勢いもあるというこの複雑な感じが出せなかったんですよ。それでこの曲って、温めていたというか、温まっていたところもあるんです。それが今このメンバーでやっと形になったんですね。個人的にベースに関して言うと引くことを覚えました(笑)。必要であれば一歩引く、音を出さない、っていう」

■1番は3回Aメロを繰り返してからBメロへと行きますが、3回目のAメロでベースが入ってくると艶感とエモさがグッと出てきます。
kazu「そうなんです、で、Bメロでまた一回落としてから、どんどん力強く盛り上げて、サビで開けるという。ハードロック少年だったこともあって10代の頃は、これができなかったんですよね。やっと空間をうまく使えるようになったな、と自分でも感慨深いです(笑)」

KANDAI「この曲は、まだメンバーになる前に観にいったLenny code fictionのライヴでやっていたんですよ。当時からこういうタイプのサビって好きだなと思ってたけど、歳を重ねた今自分でやるとなった時に、サビをいかに開けた感じで叩くか、を意識したんです。そのサビに行くまでの“前に転がっていく感じ”は一緒にアレンジしてくださったAkkinさんとも話していたポイントでした。流れていく感じのリズムをいかに気持ち良くやるか、イメージして挑んでいて、思い通り叩けましたね。ワンテイクでオッケーだったんですよ。これは今までで初でした」
ソラ「実はひとつ前のデモで詞は1 度、もっとラブソング側に寄ったんですよ。でも最終段階でこの歌詞になった航の意図を感じていて。仕上がった時、ラブソングだけにしなかったからこそライヴで活きる曲になると思ったんですよ。こういった“大きな意味での別れ”の後の想いを表現する、観せるのって、グッとくるよな、と歌詞に感じたというか。ギターに関して、とにかく聴いてほしいのはギターソロですね。この曲のすべてを表現できたんじゃないかなと思っています」

kazu「製作中も気合い入ってたよな(笑)」

■ドラマチックで哀愁を感じるギターソロですよね。
ソラ「はい。レコーディングでも入り込んでジミヘン(ジミ・ヘンドリックス)ばりの顔で陶酔しながら弾いてました。きっとライヴでもそういう顔になるでしょうね(笑)」

■それは見ものですね(笑)。ヴォーカルは温かいです。
航「最初は静かに歌うイメージでアプローチしていたんですよ。でも、Akkinさんと相談する中で、温かいほうがいいんじゃない?という意見も出てきて。試しつつ、温かみがある声のが合うんだな、と思ったんです」

■歌の温かさから、心にそっと残っている気持ちの温度が感じられましたよ。そして、年が開ければ、1月13日の千葉LOOKから、ファイナルの3月27日、渋谷クラブクアトロ・ワンマンまで続くツアーが待っていますね。

KANDAI「楽しみです(笑)。1本1本バンドとしても個人としても成長して、曲も成長させて。ファイナルに向けていい感じで廻っていきたいんですね。ファイナルで良かったよ、と言われるように大切に廻ってきます!」

kazu「シングル“脳内”に 収録する3曲は、今、俺たちのライヴで欲しい曲たちなんです。ミドルテンポでノれる〝ヴィランズ〟、ストレートな〝脳内〟、聴かせる〝Time goes by〟。これを持っていくわけで絶対いいライヴにできると思っています」

ソラ「『ロックの復権』という掲げるツアータイトルがなかなかの尖り具合ですから(笑)。ロックバンドがまた陽を浴びる時代にしていきたい、というツアーなんです。それを確かめに、ぜひ来てください!」

音楽ライター・大西智之